01HIGHLIGHT

2019年度
CSR活動ハイライト

水に浮く
ペットボトルラベルで
リサイクル効率を大幅アップ

ヨーロッパのプラスチックリサイクルを支える
TOPAS®COC

プラスチックは利便性が高く、現代社会に欠かせない素材ですが、最近は海洋ゴミや地球温暖化の要因としても話題に上がっています。これらの問題解決に向け、法的規制・世論の両面でプラスチック製品を「使い捨て」から「リサイクルする」循環型社会への急速な移行が進む中、プラスチックを効率良くリサイクルする必要性が高まっています。飲料用ペットボトルでは、その鍵となる素材としてラベル部分にポリプラスチックスのTOPAS®COCが活用され、「リサイクルしやすいプラスチック材料」を実現しています。

最適なペットボトルとラベルの分離方法を求めて

飲料用ペットボトルは、ボトル、キャップ、ラベルにそれぞれ異なる樹脂が使われています。これを効率よくリサイクルするには、樹脂ごとの分離が必要です。なぜなら、異素材が混在した状態でリサイクルすると、再生プラスチックの純度が下がり、その後の使用用途が限られてしまうからです。ヨーロッパではこれまでもリサイクル工場へのラベルを剥がす専用機械の導入や、消費者への呼びかけなどラベルとボトルの分離方法を検討してきましたが、効果・コスト面で有効とは言えませんでした。そんな中、現在注目されているのが素材の比重差を利用してラベルだけを水に浮かせてボトル部分のペットフレークと分離し、高純度な樹脂を回収する方法です。その実現のため、水に浮き、かつ必要な機能を保持したラベルが求められました。

機能を保持して水に浮く、リサイクルしやすい素材をTOPASで実現

ペットボトルのラベルには、インクを載せる印刷特性と、ボトルにラベルを装着する収縮特性や接着性が求められます。従来はPET-G、PVC系の樹脂が多くラベルに使われていましたが、これらは比重が大きく水に浮かず、ボトル部分と分離できません。そこで、当社のCOC樹脂TOPASをベースとして、比重が小さく水に浮く構造のラベルを開発しました。TOPASを使用することで、水に浮き、かつラベルとして最適な性能を持つ素材を実現したのです。

機能を保持して水に浮くラベルは効率的な分離方法を実現し、ペットボトルのリサイクル率アップに貢献しています。また、TOPASとPEやPPといったオレフィン樹脂は異素材でありながら同じオレフィン骨格構造を有しており、このラベル自体を広義の「オレフィン系樹脂」としてリサイクルできます。

ヨーロッパでは飲料用ペットボトルのリサイクルが問題に

ペットボトル

高純度の再生プラスチックを作るために
ボトルとラベルを分けてリサイクルする必要があるが、
費用対効果に優れた分離方法がない

TOPAS®COC樹脂を使ったラベルで効率的な分離を実現

機能を保持し、かつ水に浮くラベル素材の開発により、ラベル部分の素材だけを水に浮かせてボトルと分離させる

従来ラベル PET-G/PVC系樹脂
  • ラベルに求められる機能は満たすが、水に浮かない。
  • ウォーターバスの底に沈殿し、ボトルとラベルが混在してしまう。
開発したラベル オレフィン樹脂 + TOPAS®COC樹脂
  • PEやPPといった、水より比重の小さいオレフィン樹脂で水に浮く。
  • TOPASの性能によってラベルに求められる機能を保持。

供給体制を強化し、エンプラと技術で循環型社会に貢献する

TOPASの需要が急速に高まる今、一番の課題は供給体制の強化です。高品質な製品の安定供給を目指し、2021年度初頭には既存設備の生産能力5割増強、2022年度には新設備の稼働を予定しています。同時に、リサイクル可能なオレフィン素材として市場におけるTOPASの認知向上に努めます。地球温暖化や海洋ゴミ問題は、ヨーロッパに限らず世界規模の課題です。限りある石油資源から作られるプラスチックを長期にわたり循環させ、大切に使う社会を実現するため、今後もエンプラと技術で社会にソリューションを提供していきます。