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2025

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2025.09.19

高機能樹脂を粉末化:エンプラファインパウダーが切り拓く新たな製造の可能性

エンプラは耐熱性と強度に優れ、金属代替素材として幅広い分野で活躍する製品です。近年は少量生産や複雑形状への対応が求められ、柔軟な加工性が重要視されています。DURAST® Powderは高性能樹脂を微細粉末化し、3D造形や添加剤用途など多様な製品開発に貢献します。

 

 

 

高機能樹脂を微細粉末化──加工性と性能を両立する技術

DURAST® Powderは、従来粉末化が困難だった高強度・高分子量の樹脂を、用途に応じて球状や繊維状など多様な形状で微細化することに成功した新素材です。特にLCPやPPSなどの高性能樹脂は、従来の粉砕法では粒子が絡まり流動性が低下するなどの課題がありました。ポリプラスチックス独自の技術により、LCPでは平均粒径1~100μm程度の均一なパウダー化を実現。流動性・分散性に優れ、加工工程の安定化と製品品質の向上に貢献します。

PBTやPOMなどの樹脂も分子量が高くなると粉砕による加工では微細化することは非常に難しいものでしたが、新規のパウダー化手法により高分子量樹脂もパウダー化することに成功。PBTやPOMの場合、ガラス転移点(温度が低いと分子運動性が低く、温度が上がると運動性が大きくなるその境目の温度)が低いため、粉砕時の摩擦熱によって容易に固着してしまいます。
しかし、これらの樹脂の熱特性や機械物性を考慮し、それぞれの樹脂に適したパウダー化手法を選定することで、20μm~100μmという微細かつ粒径分布の狭いパウダーの製造が可能となりました。

 

多様な産業ニーズに応える応用展開

DURAST® Powderは、3Dプリンタによる積層造形や粉末焼結法に適しており、複雑な形状や高精度な部品の製造に対応可能です。さらに、CFRTP*のマトリックス樹脂としての利用に加え、有機フィラーや補強材としての応用も期待されています。
熱可塑性樹脂同士を組み合わせたポリマーアロイでは、各樹脂の加工温度差により、低耐熱側が分解したり、高耐熱側が未溶融となり分散できないといった課題が生じます。しかし、初めから粒子形状を持つ材料であれば、マトリックス樹脂の加工温度で安定して混合・分散が可能です。
また、熱硬化性樹脂やワニス、塗料、グリスへの添加剤としても使用でき、近年ではPFAS代替材料としての検討も進んでいます。粒径分布が狭いため、粉末焼結による多孔質フィルターの製造にも適しており、均一な細孔構造が得られます。
さらに、LCPのように射出成型では異方性が出やすい樹脂も、パウダーをプレス成形することで、低異方性の成形品を実現できます。
* Carbon Fiber Reinforced Thermoplastics:炭素繊維強化熱可塑性プラスチック

 

製品開発に新たな選択肢を

DURAST® Powderは、従来の成形方法では対応が難しかったニーズに応える新素材です。高性能樹脂の粉末化により、設計の自由度が広がり、加工の柔軟性が向上。試作から量産まで、さまざまな製造プロセスに対応可能です。
貴社の製品開発や技術課題に、DURAST® Powderが新たな可能性を提供します。試作・共同開発・技術検討など、お気軽にご相談ください。

 

 

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